- 1. <修了生インタビュー> 銀座校修了生、髙橋正子さんにお話をお伺いしました
- 2. 定年を目前に、「日本語教師という道があるかもしれない」と思い立った
- 1. まず、日本語教師養成講座を受講しようと思ったきっかけを教えてください
- 2. ヒューマンアカデミーを選んだ理由は?
- 3. 新しいことにチャレンジするなら、早い方がいい
- 1. 入学後は、どのように勉強を進めましたか?
- 2. 教育実習をやってみてのご感想は?
- 4. 学習と同時に就活を始め、日本語学校に合格
- 1. 修了前にすでに日本語学校への就職が決まっているそうですね?
- 5. 優しさと厳しさを兼ね備えた日本語教師になりたい
- 1. 日本語教師として理想とする先生像があれば、教えてください
<修了生インタビュー> 銀座校修了生、髙橋正子さんにお話をお伺いしました
外務省の外郭団体勤務を経て、大学職員に。アカデミック・アシスタントとして、教員と学生の橋渡しを行う業務に携わる。2024年2月、定年退職を前に新しいことを学びたいと考え、ヒューマンアカデミー日本語教師養成講座を受講。5月より本格的に勉強を始め、2025年1月に修了予定。すでに就職が決まっており、2025年1月より都内にある日本語学校で、日本語教師として第2のキャリアをスタートする
定年を目前に、「日本語教師という道があるかもしれない」と思い立った
まず、日本語教師養成講座を受講しようと思ったきっかけを教えてください
私は2024年3月まで、都内の国立大学でアカデミック・アシスタントとして勤務していました。教員のサポートや、教員と学生の橋渡しを行うような仕事です。外国人留学生と接する機会も多かったのですが、その留学生の人達は日本語で博士論文(博士の学位を取得するために大学院で提出する論文)を書き上げてしまうくらい、日本語のレベルが高いんです。話をしていても、ジョークやユーモアもすごいし、本当に本質のところまで、日本人以上に面白い話ができる。「母語ではないのに、これほどの日本語力をどうやって身につけたんだろう?」と、驚き感心するばかりです。
退職日にはその留学生も含めて関わりのある皆さんからいろんなお写真とメッセージを冊子にして送ってくれて、涙が出るくらい感動しました。
そうした留学生に囲まれていて、日本語を教える・学ぶということに対する興味が心の中にずっとあったんでしょうね。3月の定年退職を前に、これから一生できる仕事は何だろうと考えたとき、「日本語を教える仕事がいいかもしれない」と思い浮かんだんです。
ヒューマンアカデミーを選んだ理由は?
2月のある日の早朝、「そうだ! 日本語教師という道があるかもしれない」と思いついて、ヒューマンアカデミー銀座校に問い合わせの電話をかけました。すると「今日の朝10時から説明できますよ」と言われ、すぐ説明会に行きました。実は、その時点では不安もあり、決めかねていた部分もあったのですが、説明会で対応していただいた方が親身に話を聞いてくださり、いろいろと話をするうちに迷いも消え、受講を決断しました。思い立った当日に出会うという、何か運命のようなものも感じまして……。
―展開が早いですね。
そうですね。私は仕事をしていないと生き生きできないタイプなので、定年後リタイアするつもりは全然ありませんでした。人が大好きなので、人と関わる仕事、何か人のお役に立てる仕事をずっと続けていきたい。その意味でも、日本語教師は私の希望にぴったりだったんです。第2の人生の仕事、一生の仕事として日本語教師をやってみたいな、と。
日本語教師を志した理由はもう一つあり、私の娘がアメリカの大学に留学し、卒業後もその大学で仕事をしているんです。日本語教師の資格を持っていれば、もし将来アメリカで娘と暮らす機会があれば、海外で日本語を教えることもできるかもしれない。そんなチャンスがあるといいな、というおぼろげな夢もありました。
新しいことにチャレンジするなら、早い方がいい
入学後は、どのように勉強を進めましたか?
2月に申し込みをしたのですが、2月、3月は退職前後のお片づけで忙しく、まったく勉強できませんでした。本格的に勉強を始めたのは、5月のゴールデンウィーク明け頃から。最初は自宅で、eラーニングで学習を進めました。現在(2024年11月)は420時間カリキュラムの大詰めで、外国人生徒に授業を行う教育実習の段階に入っています。
教育実習をやってみてのご感想は?
難しいですね。大学で教授が教える姿は前職でさんざん見ていて、先生のお手伝いをするのは得意ですけど、自分自身が教壇に立つのは初めてなので、緊張しました。
外国人に日本語を教えた経験は、実はあるんです。大学に勤務する前、外務省の外郭団体(現在は一般社団法人)の国際交流サービス協会という在外公館施設のサポートを行う団体に勤めていた頃、外務省の方から打診されてフランス人の女性2人に日本語を教えました。ただ、プライベートで個人を相手に日本語を教えるのと、日本語教師として、きちんとしたカリキュラムに基づいて教室で生徒に教えるのは、まったく違います。まだ教案(授業の目標・方法・時間配当などを記した予定案)も満足に書けないし、授業も思ったようにうまくできない。大変です。
―新しい挑戦ですね。
そうですね。「早くやらないと、チャレンジ精神もなくなってしまうのではないか」という思いが、自分の心の根っこにあったんだと思います。年を取って体力が衰えたりすると、新しいことにチャレンジできなくなるかもしれない。やるなら早い方がいい、と。まあ、もともとじっとしていられないタイプではあるのですが……。
学習と同時に就活を始め、日本語学校に合格
修了前にすでに日本語学校への就職が決まっているそうですね?
はい。就職活動は退職とほぼ同時期、3月頃から始めていて、6月には内定をいただき、年明けの1月から勤務することになりました。
―日本語教師の勉強を始めると同時に、もう就職先が決まったということですか! これまでお話をうかがった受講生で、一番早いかもしれません。就職活動では、どんなアピールをされたんですか?
面接では「私は今、ヒューマンアカデミーで学んでいて、日本語教師の資格はまだ取得していませんが、メンタル面も含めた外国人学生のサポートができるような教師になりたい」というお話をしました。
前職で実感したのですが、外国から日本へ来た留学生は、いろいろな悩みを抱えている人が多いんです。人知れず悩んでいて、誰かに話を聞いてほしいけれども、なかなか自分からは言い出せない。ただ、そういう学生は「誰かに話を聞いてほしい」というオーラを発していて、空気感でわかります。そんな学生に私から声をかけると、堰を切ったように話し出すんです。日本での生活にまつわる悩みもあれば、親子間の問題や自国の問題だったりと、悩みはさまざまですが、友達同士では話せないし、先生にも相談できないようなデリケートな問題で悩んだり困ったりしています。そうした問題をきちんと整えないと、落ち着いて勉強もできませんし、次のステージに進めません。私は前職で多くの留学生と接してきましたから、そうした勉強面以外のサポートでも日本語学校の学生たちのお役に立ちたい、とアピールしました。
―そうした前職で培った経験やスキルに加え、高橋さんのお人柄もあって「この人に先生になってほしい」ということで採用が決まったんでしょうね。合格を知ったときのお気持ちは?
ヒューマンアカデミーに対する信頼評価のお陰も大きいかもしれません。採用が決まって嬉しかったのと同時に、「まだ先生の資格も取っていないのに、私でいいのかしら?」と思いました。今は「期待を裏切ってはいけないな」という気持ちで一杯。プレッシャーを感じています。
優しさと厳しさを兼ね備えた日本語教師になりたい
日本語教師として理想とする先生像があれば、教えてください
私が1月から勤務する日本語学校の先生方は、とてもお優しい方々ばかり。面接では女性の主任と、その上司の方とお話ししたのですが、留学生に寄り添っていらっしゃるのが非常に伝わってきて、私と波長が合う感じがしました。
私としては、留学生に寄り添うことを大事にしつつ、教師として毅然とした部分もある自分でいなければいけないと思っています。優しさと厳しさのメリハリのある先生になりたいですね。
最近大事だなと感じているのは、授業で1回は笑いをつかむこと(笑い)。今、落語の勉強をしなきゃと思っているんです。外国人の噺家さんが日本語で落語を演じているのを聞いて、「すごい!」と感動しました。日本語はもちろん、日本人の心理や行動を客観的に理解していないと、観客の笑いを誘うような落語はできないですからね。日本語の授業も、内容と同じくらい、学生が興味を持って楽しく学べるようなパフォーマンスも必要だと思います。言葉の選び方やテンポ、間の取り方、しぐさなど、落語には学ぶものが多いと感じていて、教育実習が終わったら寄席を見に行こうと思っています。
―授業ってある意味、先生がショーを作るような部分もありますよね。
そうですね。私はまだまだ未熟で、今は授業が終わるたびに毎回「ああすればよかった」と後悔ばかりです。その後悔は成長するために必要な気づきではありますが、自分を責めるだけでなく、アグレッシブに「攻めの授業」にチャレンジしていかないといけないと考えています。
また、留学生に寄り添うという面では、その人の魅力やよい点を見つけ、伸ばしてあげられるような先生になりたいです。日本人って形式ばった会話になりがちですが、私は「建前よりも本音でぶつかっていこうよ」という感じで、人と話しながら相手の本音を引き出すのが割と得意なんです。学生さんと話していても、「この人のここがいいな」「この部分を花咲かせると、きっともっと魅力的になるな」という、輝いていくポイントが見えるんです。私の声かけやアドバイスで学生がやる気を出したり、落ち込みから立ち直ったりしたことを前職ではたくさん経験したので、日本語学校でも、そうした形で学生たちをサポートできるといいなと思っています。